固定資産税の計算方法かんたん解説

家や土地など不動産を取得すると、毎年支払いが必要になる固定資産税。固定資産税とはどのような税金で、いくらくらいかかるものなのか、気になる人も多いと思います。この記事では固定資産税の計算方法や、減税措置についてわかりやすく解説します。

固定資産税の計算方法かんたん解説

お金のノウハウ

2021/12/24

固定資産税とは

毎年1月1日時点で建物や土地などの不動産(固定資産)を所有している住民に対して、市町区村から課税される税金のことをいいます。
固定資産税は、市町村(東京23区は都)から「あなたの固定資産税は〇〇円です」というように納付書が送られてきます。こうした課税方式を「賦課課税方式」といいます。
納付時期は年4回で、基本的に6月・9月・12月・翌2月であることが多いですが、自治体によって異なる場合もあります。1年分の固定資産税を一括納付することも可能です。一括で納入したからといって安くなるわけではありませんが、支払いを忘れそうという不安がある場合は一括納入で済ませんたり、口座引き落としの設定をしておくと安心です。
ちなみに、住まいを所有されている人にかかる税金で、固定資産税と別に都市計画税という税金もあります。こちらは不動産所有者全員にかかるわけではなく、“市街化区域”内に土地・建物を所有している人のみが対象になります。

固定資産税は何のためにあるの?

固定資産税は、様々な行政サービスを提供するための一般的な財源にあてられる税金です。教育・文化や福祉の充実、産業の振興、都市整備など、幅広い用途に使われます。人口減少が進み、社会インフラの維持費用が多額になり地方財政の悪化が懸念されています。このような時勢の中で、固定資産税は重要な役割を果たす税金といえます。

固定資産税はどのように決められるの?

固定資産税額は「固定資産税評価額」を基に決定します。固定資産税評価額は市町村が決定します。算出方法は全国で統一するため、総務大臣が定める固定資産評価基準を採用しています。
固定資産税評価額を基準に「課税標準額」を算出します。固定資産税評価額は不動産の価値を評価し算定した価額のことですが、課税標準額は税額計算の基礎となる金額のことを指します。そして、課税標準額に税率を乗じたものが固定資産税の金額になります。
原則として課税標準額は固定資産税評価額と同額になりますが、市街地の住宅用地(住居用の家屋が建っている土地)については特例や負担調整率が設定されているため、一般的に固定資産税評価額よりも課税標準額の方が低くなります。
税率は標準税率の1.4%が課税される自治体が一般的ですが、標準税率と異なる税率を設定しているところもあります。課税評価額は3年ごとに見直されます。

固定資産税評価額の計算方法

固定資産税を計算するためには、まず土地・建物それぞれの固定資産税評価額を計算する必要があります。計算の仕方は土地の場合と建物の場合で違うため、それぞれ説明します。

土地の固定資産税評価額の計算方法

土地の固定資産税評価額 = 土地の公示価格 × 70%

土地の固定資産税評価額は、毎年1月1日に定められる地価公示価格の70%を目安に均衡化・適正化が図られます。その土地が住宅用地なのか農地なのか、建物が建っているのか更地なのかなど、利用状況に応じて金額が変わります。一般的に地価が高い場所や更地では固定資産税が高く、建物が建っている土地は固定資産税が安くなります。これは前述した特例が関係します。詳しくは後述する【固定資産税の優遇措置】で説明します。
土地の固定資産税評価額は地価が大幅に下がらない限り、下がることはほぼありません。反対に、3年に1度の評価替えによって急激に価値が上昇してしまう恐れがあります。このような急激な地価上昇を受けた場合にも固定資産税の上昇率を緩やかに抑えられるよう、負担調整措置も講じられています。

建物の固定資産税評価額の計算方法

建物の固定資産税評価額 = 再建築価格 × 経年減点補正率

新築の建物の場合は、国が示す「固定資産評価基準」により求めた再建築価格を基準とした方法で評価されます。
再建築価格とは、評価の対象となった家屋と同一のものを評価の時点においてその場所に新築する場合に必要とされる建築費のことです。わかりやすくいうと「評価をする時に、その家と同じものをその場所に新築で建てたらかかる費用」になります。
経年減点補正率とは、家屋建築後の年数経過によって生ずる損耗などによる減価等を表したものです。よって、建物の評価額は新築の場合でも家を購入した価格がそのまま評価額とはなりません。
再建築価格や経年減点補正率などは簡単にはわからないため、建物の固定資産税評価額を詳細まで計算することは難しく、自分で固定資産税評価額計算する際は概算することになります。概算する場合、建物の購入価格の70%程度が固定資産税評価額と考え、軽減措置などを考慮した上で、固定資産税を割り出します。

新築以外の建物(在来分の建物)の場合も新築の建物の評価と同様に求めますが、その価額が前年度の価額を超える場合は、通常前年度の額に据え置かれます。増改築又は損壊等がある建物については、これらによる価額を増額又は減額します。
建物の評価自体は新築時にのみ実施され、その後は築年数に応じて機械的に減額された価額が「建物の時価」となります。価額がゼロ円になると自治体は固定資産税を徴収できなくなるため「新築時の固定資産評価額×20%」を最低価額とし、以降この価額が継続することになります。

空き家や更地の固定資産税

空き家や更地を所有している場合も固定資産税の課税対象になります。
通常の空き家の場合は、住宅用地のため減税措置を受けられます。しかし、老朽化して倒壊しそうな空き家を放置していて「特定空き家」と区分されてしまうと減税措置を受けられなくなります。
更地の場合は、建物がない土地のみのため減税措置を受けられません。不要な土地を持っている場合は売却や土地活用の検討をオススメします。

固定資産税の計算について

住宅を持っている人の固定資産税は、年間で10~30万円程度であることが多く、新築物件だと高い傾向にあります。軽減税率の優遇措置を踏まえて解説します。

固定資産税の計算方法

固定資産税は、土地・建物ともに課税標準額に固定資産税税率をかけて計算します。課税標準額の出し方は前項で説明した、固定資産税評価額に特例(軽減税率の優遇措置)を乗じたものになります。これに固定資産税税率をかけます。固定資産税税率も自治体によって違う場合がありますが、標準税率は1.4%です。

固定資産税 = 課税標準額 × 固定資産税税率(1.4%)

固定資産税の優遇措置

固定資産税では、土地・建物それぞれで軽減税率の優遇措置を受けられます。
特に住宅建築用の土地に関しては「住宅用地の特例」というものがあり、固定資産税が軽減されます。優遇措置の詳細については以下のようになります。

土地の場合

「住宅用地の特例」で小規模住宅用地の場合、住宅用地にかかる固定資産税額が6分の1に軽減されます。「小規模住宅用地」とは、住宅用地で住宅1戸につき200㎡以下の部分のことを言います。​住宅用地で住宅1戸につき200㎡超の部分​は一般住宅用地として、住宅用地にかかる固定資産税額が3分の1に軽減されます。

建物の場合

建物は土地とは異なり経年劣化していくので、新築のときが最も評価額が高く、固定資産税も高くなります。
一方で新築の場合は、一定の要件を満たせば固定資産税の軽減措置が受けられます。軽減の条件は「専用住宅又は併用住宅である」ことです。併用住宅の場合、居住に使用される床面積部分の割合が2分の1以上のものに限られます。一戸建て住宅の場合は床面積が50〜280㎡で、居住部分が120㎡以下の場合、その全てで固定資産税が2分の1に軽減されます。120㎡を超える場合は、120㎡に相当する部分が減額対象で、120㎡を超える部分は減額にはなりません。
軽減される年数は、基本的に新たに固定資産税が課税される年度から3年度分、3階建て以上の火災に強い建物は5年度分です。なお、この建物に関する軽減措置は、令和4年3月31日までとなっています。

実際に計算してみましょう

説明だけだとあまりピンとこないのではないでしょうか。実例を出して、実際に計算をしてみましょう。住宅用地150㎡で公示価格が1,400万円の土地と、新築戸建(令和4年1月に完成)で床面積は120㎡、購入価格が3,000万円の建物の場合、固定資産税はいくらになるでしょうか。
最初に土地の固定資産税評価額を計算します。

1,400万円(土地の公示価格)× 70% = 840万円(土地の固定資産税評価額)

住宅用地が200㎡以下であるため、軽減税率が適用されます。土地の固定資産税評価額に特例の軽減税率を乗じたものが課税標準額です。

840万円(土地の固定資産税評価額)× 1/6(軽減税率)= 140万円(課税標準額)

課税標準額に税率を乗じます。

140万円(課税標準額)× 1.4%(固定資産税税率)= 19,600円(土地の固定資産税)

次に建物の固定資産税を計算してみましょう。
こちらは詳細な固定資産評価額を出すことが難しいため、概算で建物の固定資産税評価額を出します。

3,000万円(家の購入価格) × 70% = 2,100万円(建物の固定資産税評価額)

令和4年1月完成の建物のため、こちらも特例の軽減税率が適用になります。新築戸建で床面積50㎡以上280㎡の場合、120㎡相当分までは軽減税率が適用されるため、固定資産税評価額が1/2に減額されます。今回は床面積が120㎡ですから、全額が2/1になります。土地同様課税標準額に税率を乗じます。

2,100万円(建物の固定資産税評価額)× 2/1(軽減税率)= 1,050万円(課税標準額)

課税標準額に税率を乗じます。

1,050万円(課税標準額)× 1.4%(固定資産税税率)= 147,000円(建物の固定資産税)

これで建物の固定資産税額を出すことができます。最後に土地の固定資産税と建物の固定資産税を足した金額を出します。

19,600円(土地の固定資産税) + 147,000円(建物の固定資産税) = 166,600円(次年度支払う固定資産税)

次年度1月1日時点で土地と建物を保有している場合、166,600円が固定資産税としてかかることになります。

固定資産税評価額に疑問があるときは

固定資産税が想定外に高い場合、固定資産税評価額に間違いがあるのではないかと不安になるかもしれません。
自分の正確な固定資産税評価額を知りたいときは、毎年送られてくる固定資産税の納税通知書に付いている「課税明細書」を確認しましょう。もしくは、固定資産課税台帳を利用することでも、自分の土地・家屋の固定資産税評価額がわかります。
固定資産課税台帳とは、固定資産の状況や固定資産税等の税額を計算する基礎となる固定資産の価格を明らかにするために、市町村に備えられた台帳のことです。固定資産課税台帳は、各市町村役場(東京23区は区役所)で閲覧できます。

また、毎年4月1日から最初の納期限の日までの間、固定資産税の納税者が自分の土地や家だけでなく、他の納税者の土地や家屋の固定資産税評価額を見ることができる制度があります。これは「縦覧制度」というもので、固定資産縦覧帳簿で確認できます。
土地価格等縦覧帳簿には、所在、地番、地目、地積、評価額が記載されており、家屋価格等縦覧帳簿には所在、家屋番号、種類、構造、床面積、評価額が記載されています。
同じエリアにある他の土地や家屋と比較してみて、金額にあまりにも大きな違いがある場合は、自分の土地や家屋が適正に評価されているかの審査の申し出をすることが可能です。

固定資産税の無駄を無くそう

文字だけで見るとなんだか難しい印象の固定資産税ですが、数字を当てはめてみると思ったより簡単に計算できるのではないでしょうか。
とはいえ、建物の固定資産税は実際に建物を建ててからではないと、きちんとした数字を出すことはできません。建物の性能によっても評価額が大きく変わってくるからです。これから家を建てようと考えている人は、「家を建てたら固定資産税がかかる」ということを覚えておきましょう。固定資産税がどの程度かかるのかの目安として、計算の仕方を参考にしてみてください。

固定資産税の優遇措置で、新築住宅かつ長期優良住宅であれば、3年ではなく5年間固定資産税の減額措置を受けられるようになります。良い家を建てることで、税金も抑えられるのは嬉しいですね。
イデアホームでは独自の基準として、長期優良住宅の仕様を全棟標準としています(申請には別途費用が必要)。

ただし新築住宅の優遇措置は令和4年3月31日までの特別措置になります。来年4月以降は通常の税額になるため、3月までに家の建設が完了する人は、申請を忘れないように気をつけましょう。今回優遇措置を受けられなかった人も今後またどんな制度や優遇措置があるかはわかりません。情報のチェックは怠らないようにしましょう。

建物がない更地を所有している場合には、減税措置が受けられないため、支払う金額が多くなってしまいます。今後自分の住宅を建てる予定がないのであれば、売却やマンション・アパート経営など、土地を活用する方法も考えましょう。
しかし、土地の活用法は多様でそれぞれに専門的な知識が必要とされるため、自分でその全てを勉強するのは不可能です。詳しい内容については専門業者に相談しながら決めていくと安心です。

新築から土地の活用まで不動産についてのお悩みは、イデアホームにお気軽にご相談ください。

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