建ぺい率と容積率の基礎講座

「建ぺい率」と「容積率」を計算できれば、建てられる家の大きさを把握できます。計算方法や要点をわかりやすく解説していきます。

建ぺい率と容積率の基礎講座

家づくりのノウハウ

2021/10/15

注文住宅を建てるために土地探しから始める人も多いのではないでしょうか。その際に必ずチェックしないといけないのが「建ぺい率」と「容積率」です。建ぺい率・容積率について正しい知識がないまま土地を購入を進めると、「融資がおりない」「理想の間取りで注文住宅を建てられない」「希望していた広さを確保できない」など様々なトラブルが起きる可能性があります。ぜひルールを知った上で、土地探しを進めましょう。

▼建ぺい率についてよく見られている記事

「建ぺい率」と「容積率」とは

建ぺい率とは

「建ぺい率」とは、敷地面積に対して建物が占める割合を示す数値のことです。わかりやすく言うと、「敷地の何%を建物に使えるか」を表します。家づくりを始める際には、この建ぺい率を理解することが重要です。

建ぺい率の計算方法

建ぺい率を計算する際に基準となるのが「建築面積」です。建築面積は、建物を真上から見た際、壁や柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積を指します。住宅では、屋根のひさしやバルコニーなど、柱の外側に突き出る部分がある場合、次の条件に基づいて計算が行われます。

  • 1m以下の突き出し:建築面積には含まれません。
  • 1m以上の突き出し:1mを超える部分が建築面積に含まれます。

例えば、2階建て住宅の場合、建築面積は1階と2階のうち大きい方の面積で計算されます。

計算式(建ぺい率=建物面積÷敷地面積×100)
例えば建ぺい率80%の土地の場合、100㎡の敷地に建てられるのは建築面積80㎡までの住宅。

建ぺい率と地域の制限

建ぺい率は、地域ごとに設定された上限値を守る必要があります。建ぺい率が高い地域では、大きな建物を建てることができますが、その反面、敷地全体に対して建物が占める割合が増えるため、以下のようなリスクも伴います:

  • 火災時の延焼リスクが高まる
  • 隣家との距離が近くなることで風通しや日当たりが悪化

このような問題を防ぐため、建ぺい率は防災や快適な生活環境の確保を目的として設定されています。特に都市計画法に基づき、用途地域ごとに建ぺい率の上限値が決められているため、土地を選ぶ際には必ず確認が必要です。

 一般的な建ぺい率の範囲

建ぺい率の上限は、一般的に30%から80%の範囲内で設定されています。例えば、建ぺい率が60%の土地の場合、100㎡の敷地に建てられる建築面積は60㎡までです。

容積率とは

容積率とは、敷地面積に対して建物全体の延床面積がどれくらいまで許可されているかを示す割合のことです。わかりやすく言えば、「敷地面積に対する建物の総面積の割合」を意味します。

容積率の計算方法

容積率は、建物の延床面積を合計して計算します。たとえば、2階建てや3階建ての建物でもすべての階の床面積を足した合計が容積率に含まれます。建ぺい率が「どのくらいの広さに建てられるか」を示すのに対し、容積率は「どのくらいの高さまで建てられるか」を表す、と考えるとわかりやすいでしょう。

計算式(容積率=延床面積÷敷地面積×100)
例えば容積率80%の土地の場合、100㎡の敷地に建てられるのは延床面積80㎡(1階50㎡、2階30㎡など)までの住宅。

容積率と前面道路の制限

容積率には、「前面道路の幅(幅員)」による制限が適用される場合があります。敷地に面する道路の幅が12m未満の場合、以下の条件に従います。

  1. 道路幅員に地域ごとの定数(例:0.4や0.6)を掛けた数値
  2. 行政が定める容積率の上限値

上記のうち、どちらか低い方の割合で容積率が決まります。

具体例で計算してみよう

例えば、次の条件の場合を考えます:

  • 容積率の上限が300%に指定されている土地
  • 土地が4mの道路に面し、定数が0.6

この場合、容積率の計算式は次のようになります。

4m × 0.6 × 100 = 240%  

つまり、容積率とは「本来は容積率300%まで建築可能ですが、この土地では240%までに制限される」という規制になります。

容積率の目的

容積率を設ける目的は、建物の規模を制限し、居住人口をコントロールすることです。もし容積率がなく、自由に高い建物を建てられると、次のような問題が起こる可能性があります。

  • 狭い土地に過密な高層住宅が建設される
  • 上下水道やインフラが追いつかない

こうした問題を防ぐため、容積率が地域ごとに設定されています。一般的には、50~1300%の範囲内で定められることが多いです。

建ぺい率・容積率を知りたいときは、調べたい土地の属する自治体(市役所や区役所等)の、都市計画課(自治体によって名称は多少異なる場合もあります)で教えてもらえます。役所の受付で「建ぺい率や容積率を調べたい」と言えば、担当する部署を教えてもらえるはずです。気に入った土地があった時は、購入する前に必ず建ぺい率・容積率を確認するようにしましょう。

建ぺい率・容積率と「用途地域」

ここでは用途地域と建ぺい率と容積率の目的について説明します。建ぺい率や容積率は、土地が属する用途地域によって自治体が決定します。

用途地域とは?

用途地域とは、土地利用を大枠で決める区分のことで、住居、商業、工業などの目的に応じて分類されています。具体的には以下のような13種類があります。

  • 第一種低層住居専用地域
  • 田園住居地域
  • 近隣商業地域 など

都市計画法に基づき、それぞれの用途地域ごとに建ぺい率や容積率の上限値が細かく設定されています。

建ぺい率を定める理由

自治体が建ぺい率を設定する主な目的は以下の3つです。

  1. 街並みの景観を守る
    街全体の統一感や美観を維持します。
  2. 防災対策
    建物が密集しすぎないようにすることで、火災や地震発生時の避難経路を確保します。
  3. 建物の風通しと耐久性を確保
    通気性が良い環境をつくることで、シロアリやダニの発生を防ぎ、建物の耐久性を高めます。

例えば、通気性の良い家は湿気がこもりにくいため、建物の寿命が延びる効果があります。理想の住宅を建てるなら、快適で長持ちすることが大切ですよね。

高級住宅街の例

用途地域によっては、建ぺい率30%、容積率60%など、特に厳しい制限が設けられている地域もあります。これは、高級住宅街と呼ばれる地域でよく見られるもので、広い敷地にゆったりとした建築を行うことで、快適で上品な街並みや景観を守ることを目的としています。

建ぺい率・容積率の注意点

建ぺい率・容積率の計算方法は建築基準法で定められており、これらを超えると建築許可が下りません。理想の家を建てるためにも、事前に正確な確認が必要です。

どうして守らなければいけないのか?

建ぺい率・容積率を守った建築確認申請書を提出しても、建築中に基準を超えると検査済証が発行されません。その結果、以下の問題が生じます。

  • 違法建築となり、建物の使用が制限される
  • 解体や改修が必要になり、余計なコストと時間が発生する

違法建築のリスク

違法建築は大きなデメリットがあります。

  • 金融機関での融資が受けられない
  • 違法建築は市場価値が認められず、担保として使えません。
  • 売却や流通が難しくなる
  • 法律上の問題がある建物は、取引が制限されるため資産価値が下がります。

トラブルを防ぐために

建ぺい率や容積率は土地ごとに異なるため、専門家への相談が不可欠です。規制や条件を正しく理解しておけば、理想の住まいづくりに専念できます。プロに相談して、安心して家を建てる準備を進めましょう。

建ぺい率・容積率以外の規制

建ぺい率・容積率以外にも建物の大きさに関する規制があります。これらの規制があることも覚えておくと、家づくりの際に予想外の制限がかかる事態を防ぐことができます。

斜線制限(道路斜線制限・隣地斜線制限・北側斜線制限)

隣接する道路や土地、住宅の北側への日当たりや風通しを確保し、圧迫感を和らげるために、建物の部分ごとの高さを制限する規制です。

日影規制

周辺エリアの日当たりを確保するための、建物の高さの制限です。
中高層の建物によりできる日影を一定の時間内に抑えることによって、周辺の居住環境を保護します。

絶対高さの制限

第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域または田園住居地域に適用される制限です。容積率やその他に関わらず、建物の高さ上限を原則10m、または12mのうち都市計画で定められた高さに制限します。

その他にも、自治体ごとに建物の高さの上限下限を定められているエリア等もありますので、併せて確認してみましょう。

建ぺい率・容積率を守りながら広い家を建てるには

建ぺい率や容積率には、土地や建物の条件によって緩和措置や例外が適用される場合があります。これをうまく活用することで、規制を守りつつ広い家を建てることが可能です。

緩和措置の例

  1. 角地緩和
    街区の角にある敷地やこれに準ずる敷地の場合、特定行政庁の指定により建ぺい率が10%加算されます。
    例:建ぺい率が60%の地域では、緩和後の上限が70%に。
  2. 防火地域での耐火建築物
    防火地域内で耐火建築物を建てる場合、建ぺい率が10%加算されます。
    この2つの条件が併用可能な場合、建ぺい率が最大で20%増えることになります。

これらの条件を満たすかどうかを確認するのは専門的な知識が必要なため、信頼できる建築のプロに相談することをおすすめします。

広さを確保するための工夫

緩和措置だけでなく、建ぺい率や容積率に算入されない構造を活用することで、広く感じられる家づくりが可能です。

地下室を作る

  • 延床面積の1/3以下の地下室は延床面積に算入されません。
  • 条件:床面から地盤面までの高さが天井高の1/3以上であること、天井が地盤面から1m以下に収まっていること。
  • 注意:地質によっては施工できない場合があり、コストが高くなることがあります。

ロフトを作る

  • 高さが1.4m以下のロフトは延床面積に算入されません。
  • ただし、面積や構造に制限があります。

ベランダやバルコニーを作る

  • 幅2m以下のベランダやバルコニーは延床面積に算入されません。

吹き抜けを作る

  • 吹き抜け部分は2階の床面積として算入されません。

これらの工夫を取り入れることで、規制内でも広さを感じられる快適な住まいを実現できます。

建ぺい率・容積率のまとめ

ここまで建ぺい率と容積率について解説してきましたが、ポイントを簡単にまとめると次のようになります。

  • 建ぺい率:敷地の何%を建物に使えるかの割合
  • 容積率:敷地面積に対する延床面積の割合
  • 建ぺい率・容積率は自治体で教えてもらえる
  • 建ぺい率・容積率は用途地域によって異なる
  • 守らないと建築許可や融資がおりないので注意
  • 工夫次第で規制を守りながら広い家を建てることが可能

建ぺい率・容積率の重要性

家は必ずしも広ければ快適というわけではありません。敷地いっぱいに家を建てると、以下のような問題が生じることがあります。

  • 隣家との距離が近すぎることで、陽あたりや風通しが悪くなる
  • 騒音や火事の延焼リスクが高まる

こうしたリスクを防ぐためにも、建ぺい率や容積率のルールが重要です。特に平屋を希望する場合、建ぺい率がそのまま家の広さに直結するため、注意が必要です。

確認と相談の重要性

土地の建ぺい率・容積率は、地域や用途地域ごとに異なります。土地購入や建築を計画する際には、必ずこれらを確認してください。条件が変わる可能性があるため、大規模なリフォームを検討している場合も同様です。

快適な家づくりのための工夫

制限された建ぺい率や容積率の中でも、以下の工夫を取り入れることで広さと快適さを両立できます:

  • 吹き抜けを活用する
  • スキップフロアを設ける

これらを上手に取り入れることで、開放感のある住まいを実現できます。理想の住まいを建てるには、敷地面積や建ぺい率・容積率について正確に理解することが大切です。イデアホームでは、様々な土地のご案内や家づくりのサポートを行っています。お悩みやご質問があれば、ぜひお気軽にご相談ください

スタイル付き無料資料請求は
こちらから

イデアホームは地震に強いだけでなく、デザインにも自信を持っています。イデアホームの耐震性に興味のある方はもちろんのこと、デザインやスタイルについて気になる方も、まずは無料資料請求をどうぞ

詳しく見る