耐震基準適合証明書は必要?

建物が建築基準法で定められた基準を満たしていることを示す証明書として「耐震基準適合証明書」というものがあります。耐震基準適合証明書とはいつ、なんのために必要な書類なのでしょうか。詳しく解説していきます。

耐震基準適合証明書は必要?

2022/06/10

耐震基準適合証明書とは

耐震基準適合証明書という名称を耳にしたことはありますか?耐震基準適合証明書とは、住宅などの建物の耐震性が「建築基準法で定められた耐震基準を満たしているか」を証明する書類のことを言います。この書類は住宅を購入した時に自動的に発行されるものではなく、取得したい場合には申請が必要です。
また、この証明を取得するためには耐震診断が必要になります。耐震診断とは、既存の建築物の耐震性を診断するものです。旧耐震基準において設計され耐震性能を保有していない建物を、現行の耐震基準と比較して耐震性の判定を行います。

▼耐震診断について詳しくはこちらの記事をご覧ください

なお、この証明では新築住宅であれば地震保険が20%以上割引になる、耐震等級2や3の診断証明はできません。では、一体どのような場合に耐震基準適合証明書は必要なのでしょうか。詳しく解説していきます。

耐震基準適合証明書はなんのために必要?

マイホームを購入した際に、一定の条件を満たすとさまざまな税金控除や減税措置が受けられます。その適用条件の中に「耐震基準」や「築年数」という項目があります。これらの項目が、定められた一定基準値以下になってしまうと減税措置を受けることができません。耐震基準適合証明書は、主に住宅借入金等特別控除や、登録免許税の軽減など税金面での優遇を受けるために必要な書類でした。しかし、税制改正の関係で今年度(令和4年度)からはさまざまなケースで不要になっています。

令和3年度までの場合

令和3年度まで、「築年数」に関しては木造などの非耐火建築物であれば築20年以内、マンションなどの耐火建築物であれば築25年以内であることが税優遇の適用要件でした。しかし、耐震基準適合証明書があれば、耐震性があることの証明の他にも、築年数の要件緩和も受けることが可能でした。築年数が規定を超えた建物でも、住宅の耐震性を証明できれば減税措置を受けることが可能です。
特に住宅ローン減税に関しては、減税の効果が大きく是非とも受けたいものだったため、耐震基準適合証明書は税金控除に必要不可欠と言えるものでした。
ちなみに、耐震基準適合証明書を取得することで受けることができた、主な控除や特例は以下のようなものです。

住宅借入金等特別控除:「住宅ローン控除」や「住宅ローン減税」と呼ばれることもあります。住宅ローン等を利用して住宅の購入等をした場合、一定の要件に当てはまれば、その借入金等の年末残高の合計額を基として計算した金額を、所得税額から控除するという特例です。
住宅取得等資金贈与の特例:父母や祖父母など直系尊属から、住宅取得等資金の贈与を受けた際に、一定の要件を満たす場合は贈与された金額のうち対象額が非課税になるという制度です。
マイホーム取得資金の相続時精算課税の特例:受贈者が2,500万円まで贈与税を納めずに贈与を受け、相続時(贈与者が亡くなったときなど)に、残りの相続財産分と一括して相続税として納税する制度のことです。
登録免許税軽減の特例:土地や住宅を取得した際に必要な、自分の権利を明らかにするために登記(所有権移転・抵当権設定)にかかる税が軽減される制度。
不動産取得税軽減の特例:不動産取得税とは不動産を取得した人に課税される税金で、市町村が毎年課税する固定資産税と違い、不動産を取得したときに1度だけ納める税金のこと。原則4%のところを、3%に軽減します。
固定資産税の減税措置:土地・建物それぞれ一定の条件を満たした場合に、固定資産税額が軽減される措置。
地震保険の割引:昭和56年6月1日以降に新築された住宅である場合、地震保険が新築住宅と同等程度(10%程度)に、保険料が割引になることがある。

耐震基準適合証明書は令和4年度よりほぼ不要になりました

税制改正により、令和4年度から住宅ローン控除の適用要件に「耐震性を有する書類」の提出が不要になりました。そのため、今後「昭和57(1982)年以降に建築された新耐震基準適合住宅」を購入する方においては、税優遇を受けるための耐震基準適合証明書の発行・取得はほぼ不要となりました。ただし、税優遇のためには不要でも、以下の場合は耐震基準適合証明書があった方が良いでしょう。

不動産売買の価値アップとして

耐震基準法は度々改正されています。よく耐震性の「新耐震基準」として紹介されるのは昭和56年(1981年)6月1日以降に建築確認されたものです。しかし、実はその後2000年にも耐震基準が大幅に改定されています。そのため、2000年建築以前の不動産の売却を検討している方は、耐震性の証明として耐震基準適合証明書が役にたつ可能性があります。

昭和57年以前の物件の場合

前述の通り「昭和57(1982)年以降に建築された新耐震基準適合住宅」であれば、「耐震性を有する書類」の提出が不要になりました。しかし、昭和57年以前の物件に関しては耐震性を証明するために、耐震診断を行います。残念なことですが昭和57年以前の物件の場合、大多数の物件では問題があるため、耐震補強工事をする必要があります。
このような場合も耐震基準適合証明書を取得することで、住宅ローン控除を受けることが可能になります。耐震補強工事には200万円以上かかることも多いため、住宅ローン控除の最大額で控除を受けられたとしても、全てを賄うことはほぼ不可能です。しかし、控除を受けた方がいいことは間違いないため、耐震基準適合証明書を取得する価値はあると言えるでしょう。
なお、地震保険に加入する場合も、もし耐震基準適合証明書を取得できるのであれば、昭和57(1982)年以前の建物であっても割引が適用されます。

耐震基準適合証明書の発行について

購入する物件によっては、耐震基準適合証明書が不要な方も多いと思います。しかし、もし必要である場合はどのようにして入手したら良いのでしょうか。
耐震基準適合証明書は、建築士事務所や指定検査機関などで発行可能です。耐震基準適合証明書を発行できるのは、指定性能評価機関や建築士などになります。指定性能評価機関は、国土交通省が指定した一般財団法人や住宅診断を専門に行っている業者のみです。
耐震基準適合証明書を発行する際は耐震診断が必要なため、「証明書発行費用」のほかに「診断費用」が必要になります。証明書の取得費用は約3~5万円程です。耐震診断の費用は診断方法によって価格に差があります。木造住宅の一般診断であれば5〜30万円、精密診断を受ける場合は15万円〜が相場です。取得にかかる費用に関しては、中古住宅購入であれば仲介する不動産会社に相談することをオススメします。

取得にかかる時間

耐震基準適合証明書は、依頼してから診断が実施されるまで1週間程度、耐震診断から発行されるまで1週間〜10日程度かかります。申請から発行するまでに、概ね2週間〜1ヶ月ほど見ておくと良いでしょう。建物の状態によっては、調査中に耐震改修工事が必要になるため、数ヶ月かかる可能性もあります。すぐに発行できるわけではないため、「必要な時に間に合わない」ということがないよう、提出の時期を逆算して取得しておくようにしましょう。

耐震基準適合証明書の発行に必要な書類

耐震基準適合証明書を発行するために必要な書類に関しては、以下のようになります。

  • 耐震基準適合証明申請書仮申請書
  • 検査登記事項証明書写しもしくは建物登記事項証明書の写し
  • 台帳記載事項証明書もしくは検査済証の写し
  • 物件状況等報告書
  • 販売図面(間取り図)、あるのならば建築図面

検査済証の発行が義務付けられるようになったのは、2000年に入ってからになります。築年数が経過した中古住宅の場合は、検査済証が交付されていないこともあるため注意しましょう。

発行の流れ(中古住宅購入の場合)

所有権移転前か後かによって、耐震基準適合証明書を取得する流れが若干異なります。中古物件購入の際に耐震基準適合証明書を取得する場合の、一般的な流れをご紹介します。

所有権移転前に耐震基準適合証明書を取得する場合

所有権移転前に耐震診断を実施することについて、売主の許可が必要になります。売主に申請者になってもらい、耐震基準適合証明書を取得します。

1.売買契約後、建築士へ相談
依頼者(売主)が建築士に対して書面で業務を依頼します。費用や諸問題について合意します。

2.耐震診断
耐震診断を行い、耐震診断の結果、現行の基準に満たないと判断された場合は改修工事が必要になります。所有権移転前に改修工事を実施することについては、売主の許可が必要になります。

3.費用の支払い・証明書発行

4.物件引渡し(所有権移転)

所有権移転後に耐震改修工事を実施し、耐震基準適合証明書を取得する場合

売主の協力が得られない場合は、所有権移転前に耐震基準適合証明書仮申請のみを行って、耐震診断や改修工事は引渡し後に実施します。この方法の場合、登録免許税の減額は対象外となるので注意しましょう。

1.売買契約後、建築士へ相談
依頼者(買主)が建築士に対して書面で業務を依頼し、費用や諸問題について合意します。

2.耐震診断
申請者が耐震基準適合証明書仮申請書を建築士宛に発行します。耐震基準適合証明申請書仮申請書のひながたは以下から取得ができます。

3.物件引渡し(所有権移転)
所有権移転後、居住開始までに改修工事を実施して証明書を取得する必要があります。不動産の取引では「新住所登記」といって、所有権移転前に新住所へ住民票を移して住所移転登記を省略する方法が取られますが、この場合は「新住所登記」を行うと制度対象外となります。

4.耐震改修工事
耐震改修工事の実施が要件です。引渡し後の耐震診断の結果、現行基準を満たすことが判明した場合は制度対象外となります。

5.費用の支払い・証明書発行


中古物件などで、耐震基準適合証明書を取得したい場合、手続きの進め方がややこしく、取引の進め方を誤ると住宅ローン減税の対象外になる恐れがあります。取得を検討しているのであれば、不動産売買契約前に不動産会社に相談しておくと安心です。

耐震基準適合証明書発行に関する注意点

築20年を超える物件の取得を検討される場合、タイミングが重要になります。この場合「耐震基準適合証明書」は売主に対して発行されたものでなければいけません。つまり、中古住宅を取得してしまった後に「耐震基準適合証明書」を取得しても住宅ローン減税は使えないということになります。築年数が古い物件をリフォームして取得することを想定している場合は、耐震基準適合証明書に詳しい仲介事業者を選びましょう。

近年、建設された新築物件は、そもそも新耐震基準を満たしていないと建設できません。しかし、1981年以前に建設された建物は旧耐震基準が採用されているため、ほとんどの場合、当時の基準を満たしていても現在必要な耐震基準を満たしてはいません。そのため、1981年以前建築の中古住宅は、多額の補強工事が必要となることが多く、発行を諦める人も少なくありません。
さらに、耐震基準適合証明書を取得していても、他の条件を満たしていなければ住宅ローン控除や減税制度を利用できないケースがある点にも注意が必要です。補強工事の費用と、耐震基準適合証明書発行によるメリットと、家の安全性について検討し、必要に応じて手をかけるようにしましょう。

大切なのは本当に地震に強い建物であること

これまで、耐震基準適合証明書は耐震基準を満たしていることを証明する重要なツールでした。しかし令和4年度からは「昭和57年以降に建築された新耐震基準適合住宅であること」を、登記簿謄本で確認すれば事足りるようになりました。そのため、耐震基準適合証明書は概ね不要になり、取得に必要だった手間や費用のことを考えると便利になったと言えるでしょう。とは言え、耐震基準適合証明書は今でも耐震性を証明するツールであることは間違いありません。

大切なのは証明書の必要の有無ではなく、真にその建物が地震に強いことです。自分や家族が安心安全に暮らしていくために、家の耐震性は高いにこしたことはありません。証明書があるからといって、基準に適合していることを示すだけで地震時に安全であることを保証しているわけではないのです。
既存住宅では現地調査を行っても、確認が難しい部分もあり、新築住宅のように全ての部位をきちんと検査することはできません。現在の最低ランクの耐震性しかない新築住宅と、同様程度の耐震性があるにすぎません。現在の住宅の耐震性に不安があるのであれば、耐震シミュレーションなどを利用して正確な診断をして改修工事を行いましょう。
新築であっても、施工会社によっては耐震性の基準に差が生じます。「新築だから大丈夫」と思い込まず、きちんと構造計算がされているか、耐震シミュレーションがされているかなど確認しましょう。

イデアホームでは地震に強い家づくりを行っております。また、耐震リフォームも数多く手がけております。
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