地盤改良の費用&注意点 かんたん解説

建設予定地に住宅を建てようとしたとき、軟弱な地盤の場合には住宅の重みに耐えられるような地盤にするための地盤改良工事が必要となります。土地や建設費以外にも地盤改良工事の費用も予算として考えておくことが大切です。実際に地盤改良を行うときに、工法別にどれくらいの費用が必要となるのか、どのような注意が必要か解説していきます。

地盤改良の費用&注意点 かんたん解説

家づくりのノウハウ

2022/10/11

地盤改良の費用は事前にわからないことが多いうえ、見積金額が妥当なのかを施主自身が判断するには、難しいです。地盤改良の工法の違いによっては、必要となる費用も変わってくるので、今回は費用についての解説や注意点について解説していきます。

地盤調査と、地盤改良

地盤調査や地盤改良は地震や災害に強い家づくりにはとても重要なことです。最初に地盤調査と地盤改良について解説していきます。

地盤調査とは

地盤調査とは、果たして建設予定の土地が家を建てても大丈夫なのかどうかを、専用の設備を用いて調査することです。住宅の耐震性・耐久性などに重要な働きを持つ住宅の「基礎」を的確に設計するため、また、地盤に問題がある場合の地盤改良工事を行うためにも、地盤調査は必須です。

昔は地盤調査をすることなく住宅の建設が可能でしたが、調査を行わず軟弱な地盤に建設した結果、不同沈下(建物が不揃いに沈んでいくこと)や液状化が起こるなどの問題がありました。2007年に住宅瑕疵担保履行法がスタートしたことで、住宅建設の専門会社は住宅瑕疵担保責任保険への加入が義務化され、保険の申し込みの際に地盤調査が必要になりました。住宅を新たに建築する場合、必ず地盤調査は行われます。

※住宅瑕疵担保履行法
住宅瑕疵担保履行法とは、住宅を新築する建築業者、または新築の住宅を販売する不動産業者に対して、買い主に引き渡した新築に欠陥が発見された場合における、その修繕費用の確保を義務付ける法律です。

▼地盤調査について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

地盤改良とは

地盤改良とは、文字通り軟弱な地盤を不同沈下が起きない強固な地盤へと改良する土木工事のこと。地盤の状態は土地によっても大きく異なります。そのため、重量物である建物をしっかりと支える、土地の状態に応じて地盤を補強・改良する「地盤改良」が必要になる場合があります。地盤改良は、不同沈下を防止するためのものであり、地震時に軟弱地盤で揺れが大きく増幅する現象を防ぐ効果はありません。軟弱地盤では建物の耐震性に注意する必要があります。このため、地盤調査には一般的な地盤調査のほかに、地震時の揺れやすさを計測する微動探査も行うのがおすすめです。イデアホームでは地盤調査の際に「微動探査」も行っています。

地盤改良が必要とされる土地、必要ない土地

地盤調査の結果などにより、地盤改良が必要とされる土地と必要ない土地があります。

地盤改良が必要とされる土地

  • 地盤調査にて軟弱な地盤と判断された場合(建物を地面が支える力が20~30KN/平方m以下)
  • 敷地や周辺が盛り土で作られた場合
  • 埋め立て地の場合
  • 過去に陥没があった土地である場合・不同沈下や液状化の可能性がある場合

地盤改良が必要ない土地

  • 強固な地盤を持つ土地

建物の基礎には、基礎を地盤に作る「直接基礎」と、杭を打ち込んで基礎を作る「杭基礎」の2つがあります。木造住宅など比較的に軽い建物は「直接基礎」で作られます。地盤改良は直接基礎で軟弱な地盤を改良するための土木工事です。つまり、直接基礎で「強固な地盤」を持つ土地であれば、地盤改良は必要ありません。

地盤改良工法と費用の相場について

地盤改良工事には、主に「表層改良工法」と「柱状改良工法」、「鋼管杭工法」の3種類があります。標準的な戸建て住宅の土地面積が40~50坪程度、40~50坪の土地の上に延床面積が30坪の建物が建っているのが一般的と言えるため、今回は30坪を目安としています。

表層改良工法(木造30坪の場合20万円~40万円程度)

表層改良工法とは、軟弱な地盤が地表から2m程度の場合に可能となる工事で、セメント系凝固材を混ぜ合わせて強固な地盤を作る工法です。地表層改良工法は利用する重機もパワーショベル、ロードローラー程度であるため、狭いスペースでも作業可能、工期を短縮できるなどの特徴があります。費用も3つの工法のなかでは最もリーズナブルだと言えます。

柱状改良工法(木造30坪の場合40万円~70万円程度)

柱状改良工法とは、軟弱な地盤が地表から2m以上~8m程度の場合に可能となる工事で、セメント系凝固材を地盤に注入しながら、支持地盤まで強固な柱を到達させる工法です。軟弱な地盤の深さが2m以上〜8m程度までと、表層改良工法では対応できない場合に使用されます。杭基礎では基礎と杭を一体化しますが、地盤改良杭では建物が杭の上に載っている点が違います。柱状改良工法では、直径60cm程度のコンクリート柱を碁盤の目の様に並べていくため、支持地盤までの深さや床面積、コンクリート柱の本数によって費用が変動し、工期も比較的長めになることが特徴です。

鋼管杭工法(木造30坪の場合90万円~130万円程度)

軟弱な地盤が地表から深さ5m以上~10m程度の場合に必要となる工事で、やや細い鋼管杭を埋め込んで荷重を支持地盤に伝えます。鋼管でできた杭を支持地盤となる硬い地盤まで打ち込み、規則正しく並べることによって強固な土台を作る工法です。表層改良工法・柱状改良工法よりも強度を確保できるため、より重量のある建築物にも対応できるのが鋼管杭工法になります。柱状改良工法のコンクリートよりも細い鋼管を支えるため、比較的敷地が狭い場所でも工事できることが特徴です。支持地盤までの深さが10m以上になる土地でも使える工法ですが、工事中にはやや大きな騒音が発生するため注意が必要です。

地盤改良の費用がわかるまで

地盤改良の工法によって、金額や特徴は異なります。では実際に地盤改良費がわかるのはどのタイミングなのか、説明します。

地盤調査は「間取りが決まってから」

いずれの工法を採用する場合でも地盤改良の範囲は「上物である住宅を建築する部分のみ」です。つまり、土地のどの位置に住宅を建築するかが決まらないと、地盤改良の範囲や、前提としての地盤調査の範囲がわかりません。地盤調査の主流であるスウェーデン式サウンディングでは、住宅の四隅と、それぞれを直線で結んだ中心点の計5か所を調査する必要があります。地盤調査を実施できるのは「住宅の間取りが決定 = 設計が確定してから」のタイミングです。地盤調査で計測される5か所は、それぞれ1m位置がずれただけでもやり直しになるため、住宅建築の初期段階で地盤調査、その後の地盤改良を済ませておく、ということが出来ません。

地盤改良の費用は地盤調査後に判明する

地盤調査の結果がわからなければ、最適な地盤改良の工法を決められません。つまり、地盤改良の正確な見積もり費用が判明するのは、地盤調査の後になります。これは、地盤改良の費用を事前に把握することが難しい理由でもあり、地盤改良工事が大きな悩みどころになってしまう理由です。地盤調査・地盤改良を実施できるのは「ハウスメーカーや工務店を決めて設計が確定」した後、「請け負う工事契約を締結する」前のタイミングしかありません。このタイミングでは、すでに住宅新築にかかる費用も確定しているはずですが、地盤調査の結果次第では、100万円単位の地盤改良費用が追加で必要になることもあります。

地盤改良についての注意点

地盤調査、地盤改良についてどのような事に注意が必要か、説明します。

施工会社によって、地盤改良の費用は異なる

地盤改良の費用は施工会社によって異なります。地盤調査・地盤改良は、家を建設する同じ施工会社が担当するパターンがほとんどですが、施工会社ごとに調査の精度、調査結果を踏まえた対応が異なる事はあります。工事内容の見積書で不明な点があれば、すぐ問合せを出す事が必要です。特に見積書が一式表示の場合は、金額が不透明なため注意をしてください。使用する材料の単価や重機を使用するための費用や、人件費など内訳を細かく見積もり提示してくれるハウスメーカーや工務店を選びましょう。

地盤資料を閲覧出来る場合がある

地盤改良の工法の特徴・費用を踏まえたうえで、事前に土地の地盤情報を集めて概算費用を相談しましょう。地方自治体などが、過去に実施した地盤調査のデータをホームページで公開している例も少なくありません。購入を検討している土地の地盤資料を閲覧出来る事もあります。地盤資料を入手出来れば、ハウスメーカーや工務店から概算の見積もり費用を教えてもらえるので、予算が立てやすくなります。

地盤が軟弱な土地の傾向を知る

住宅用の土地を探す際に、丈夫な地盤を持っていそうな地域・エリアを選べば、地盤改良工事が必要になるリスクを減らせます。例えば、標高が高い地域・エリアは、標高が低い場所よりも地盤が硬い傾向があります。一般的な傾向として、盛り土・切り土が必要な斜面は避けたほうが無難です。地盤が軟弱になりやすい土地もあります。具体的には以下の通りです。

地盤が軟弱な傾向にある土地概要
河川・海の近くの土地含水率が高くなるため地盤が軟弱になりやすい
埋め立て地人工的に踏み固めているため自然の地盤よりも軟弱になりやすい
水害の多い土地・エリア雨量の多い土地は河川・海の近くと同様、含水率が高くなる

あらかじめ予算を決めることが大事

地盤の丈夫そうな土地を選び、周辺の地盤情報を入手できれば、地盤改良で多額の費用を支払うリスクは軽減できます。ですが、事前に入手した情報が、実際に地盤調査を実施した結果と一致するとは限りません。隣地の地盤に問題がなくても、自分の土地では地盤改良が必要になるというケースも少なくないからです。地盤改良費用の予算が立てにくいのは、実際にやらないとわからない部分があります。つまり住宅新築を検討する際には、地盤改良にかかる費用はあらかじめ確保しておく事が重要と言えるでしょう。そのうえで、できる限り地盤改良を必要としない土地を探す事がポイントです。

最終的な設計が確定しないと調査が出来ないため、地盤改良は非常に悩みどころの多い工事です。どれだけ地震に強い家を建てたとしても、揺れに強い地盤であるかどうかは重要になります。必要に応じて地盤改良工事費用がかかりますので、あらかじめ資金計画に組み込んでおきましょう。また、軟弱地盤リスクが高い地域を避けて土地探しをする事、地盤改良の工法や基礎知識を理解したうえで、信頼できるハウスメーカー・工務店を探すこともポイントと言えるでしょう。建物の請負契約後に地盤改良費が提示される事が多いので、建物の価格が安いいわゆるローコストメーカーの中には、地盤改良費に利益を大きく載せるところもあります。住宅会社選びは、どれだけ真摯な対応をしてくれるか、慎重に選ぶ必要があります。

イデアホームではお客様に品質と価格の根拠を細かく説明できる透明性を大切にしています。ご契約の前の段階で、必要な費用の総額を改めて算出し、お客様の想定や予算とかけ離れていないかどうかの確認を行うため、資金計画書もお出ししています。きちんと工事に見合った費用なのか、十分にお話をうかがいながら進めていきます。ぜひ一度、イデアホームにご相談ください。

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