工務店の坪単価の罠〜坪単価の考え方とは?ローコスト住宅に注意〜

注文住宅を建てる際によく目にするのが坪単価ですが、この坪単価、単純に計算すれば正しい建築価格になるのかと言うと大間違いです。実はこの坪単価はいくらでも安くみせることができます。今回は工務店の坪単価の考えについて、そして重要な坪単価の罠について解説します。

工務店の坪単価の罠〜坪単価の考え方とは?ローコスト住宅に注意〜

お金のノウハウ

2023/01/16

施工店を選ぶ時に気になる、工務店の坪単価

注文住宅を建てる工務店を選ぶ際によく目にするのが「坪単価」だと思います。坪単価を単純に計算すればその工務店で施工できる「正しい建築価格」になると思われがちですが、それは大間違いです。そこには「坪単価」という数字が元となる算出根拠がばらばらという「罠」があります。とくに、ローコスト住宅を宣伝する会社がうたう「坪単価25万円」には落とし穴があります。「坪単価25万円」と言われている家も、最終的にかかる費用を計算すると「坪単価25万円」をオーバーしていた!ということも少なくありません。今回は工務店の坪単価の考えについて解説し、工務店の適切な坪単価を確認する3つのポイントも紹介します。

工務店の坪単価とは

まずは坪単価について説明します。

坪単価とは

坪単価とは、家を建てるときに1坪あたりの建築費がいくらになるか計算したものです。

計算方法は以下の通りです。
坪単価=本体工事費÷建物面積
1坪はおよそ3.3平米(㎡)で、タタミ2枚分の広さになります。

▼「坪単価の計算方法かんたん解説!」詳しくはこちらの記事もご覧ください。

平均的な坪単価について

さて、ここからは気になる全国、首都圏、それから一例としてイデアホームの施工エリアである埼玉県の坪単価平均について紹介します。住宅ローン「フラット35」を利用された方の2021年のデータに基づいて坪単価の平均を見てみましょう。平均の数値はあくまで参考値のため、上記の金額よりも上振れることも下振れることもあります。

注文住宅の坪単価、全国平均は71.4万円、首都圏だと77.9万、埼玉県は73.5万円です。
坪単価はエリアによって数万程度の差があります。

建設費平均※本体工事費住宅面積坪単価
全国3,569万円2,677万円123.8㎡(37.5坪)坪71.4万
首都圏3,896万円2,922万円123.8㎡(37.5坪)坪77.9万
埼玉県3,645万円3,645万円122.7㎡(37.2坪)坪73.5万

※本体工事費は、注文住宅を建てる際の費用総額の50~80%程度になるのが一般的ではあります。解体工事の有無、上下水道引き込みの有無、擁壁などの工事の有無など建築地の条件によって大幅に異なるため、今回は75%で計算しています。また、上記は2021年の統計ですが、2023年は価格が、資材の大幅高騰により10%から15%の上昇すると言われています。

引用:住宅金融支援機構(https://www.jhf.go.jp/about/research/loan_flat35.html

大手ハウスメーカー・工務店・ローコスト住宅メーカーの3種類に分けて坪単価

ここからは、大手ハウスメーカー・工務店・ローコスト住宅メーカーの3種類に分けて坪単価を紹介します

大手ハウスメーカー【坪単価90万円~】

大手ハウスメーカーは坪単価90万円~が目安です。100万円超も珍しくはありません。地域工務店とは坪単価に25万円ほどの差がありますが、ハウスメーカーには充実した保証制度や、テレビCMなどで獲得したブランド力があります。「高いから良い家が建つ」とは一概には言えませんが、大手ならではの安心感があります。

工務店【坪単価65万円~】

工務店は坪単価65万円~が目安です。大手ハウスメーカーよりも低い傾向があり、予算を抑えて家を建てたい方や、土地にお金がかかるため建築費は節約したい方にピッタリです。工務店は大手ハウスメーカーよりも自由に設計できるのもメリットだと言えます。ただし、保証内容や技術力にはばらつきがあることもあるため、工務店を見極める力が必要になります。

ローコスト住宅メーカー【坪単価60万円程度】

ハウスメーカーのなかでも低価格帯のメーカーは、広告などでは坪単価30万円程度の表示をしていますが、最終的にかかる費用を坪単価として計算すると工務店の坪単価と大差ありません。価格を極限まで下げるため、内装や間取りの自由度は低く、全体的にシンプルな作りになります。保証制度は最低限の保証のみのことが多く、大手ハウスメーカーや保証制度が整っている工務店に劣ります。坪単価を低く見せるため、いろいろなものがオプション(別途費用がかかる工事)になっていたり、内容がわからない一式見積を提出されることもあり、注意が必要です。必ず契約前に工事中の物件を見学することをおすすめします。

▼ハウスメーカーの坪単価はなぜ高い?詳しくはこちらの記事もご覧ください。

知っておきたい坪単価の罠

ローコスト住宅メーカーは坪単価を低く見せるために、いろいろなものがオプション(別途費用がかかる工事)になっていたりするため、要注意が必要と記載しました。どうして「坪単価を安く見せることができるのか」それには「坪単価の算出方法にはルールが存在しない」という罠があります。宣伝では坪単価30万と書いてあるのに、他のハウスメーカーや工務店と同じ算出方法をしたら、実は坪単価70万円だったというトラブルに巻き込まれないためにも、ここからは「坪単価の罠」について解説します。

罠1:延床面積や施工面積を広く算出している

坪単価とは、建築費を建物の大きさ(坪数)で割り返した数字です。建築コストは、建物の大きさに比例して上がっていくコストと、建物が大きくなっても変わらないコストがあります。

建物の大きさに比例して上がるコストの代表例(面積に比例して材料や手間が増える工事)

  • 基礎
  • 構造材
  • 大工施工費
  • 屋根材
  • 外壁材
  • 内装の仕上げ材等

建物の大きさにかかわらずコストがほとんど変わらない代表例(工事内容面積に比例して材料や手間が増える工事)

  • 電気工事
  • 給排水工事
  • 空調工事
  • サッシ工事
  • キッチン
  • ユニットバス
  • 洗面化粧台
  • 便器などの住宅設備機器

単世帯の一戸建て住宅であれば、建物が大きくなっても部屋数が極端に増えることはありません、住宅設備機器の数も変わらないはずです。このことを理解していれば、坪単価のベースとなる建物の大きさが大きいほど(分母か大きいほど)坪単価の数字は低くなります。必ずしも坪単価が高い=大きくて良い家ではありません。坪30万円、坪40万円と宣伝している会社のHPやチラシを隅々までよく見てください。対象面積やモデルプランの延床面積や施工面積が50坪、60坪など比較的大きな面積が計算の基準になっている場合があります。坪数が大きいほど坪単価は下がることになるため、少しでも安く見せるために、通常の延床面積(建物の床面積を全て合計した面積)に加えない箇所を加え、総合施工床面積として坪単価を提示している場合もあります。

罠2:坪単価に設備や屋外配管を含まず算出できる

一般的に坪単価の計算は「本体工事費」を示すことがほとんどです。

「本体工事費」は文字通り建物本体の工事にかかる費用で、家を建てる際の総額の70%くらいを占めます。塀や庭などの外構工事部分は「付帯工事費」といい、総額の20%ほどになります。ローンの手数料や税金、地鎮祭や上棟式といった建築中に行う行事への費用などは「諸費用」といい、総額の10%ほどです。本体工事費と付帯工事費を合わせて「建築工事費」といいます。「本体工事費」と「建築工事費」は別物です。工務店やローコスト住宅メーカーでは「本体工事費」に設備費用や手数料や外構などの費用を含まずに計算していることがあります。

工務店の坪単価を正しく比較する3つの方法

坪単価の算出にはルールがありません。そのため、各社の価格を比較する際にはただ坪単価を見るのではなく、各社本体金額の内容は同条件である必要があります。ここでは工務店の坪単価を確認する際の3つのポイントを紹介します。

①延床面積と施工床面積の違い

延床面積と施工面積、どちらを用いて算出しているか確認しましょう。坪単価の算出をする際、一般的には「延床面積」を使うことが多いですが、中には「施工面積」を用いて計算する工務店・ハウスメーカーもいます。

施工面積とは?

実際に施工する部分(建築工事費がかかる面積)のことを指します。玄関ポーチ、ベランダ、ロフト等も全て施工面積に含まれるため、延床面積よりも施工面積が大きくなります。玄関ポーチ、ベランダ、ロフト等は実際に施工される部分です。設備等もありそれなりのコストがかかるため、一概に施工面積で計算をしてはいけないわけではありません。

延床面積とは?

建物の床面積を全て合計した面積のことを指します。2階建ての住宅であれば、1階と2階の床面積を合算することになります。一部例外はありますが、吹き抜け、地下室、ロフト、ベランダなど、壁で囲まれていない部分は延床面積には含まれないことになります。「施工面積」には「延床面積」に含まれない部分も含まれるため、 延床面積よりも面積が大きくなり、坪単価が安く計算されることになります。バルコニーが大きい、不整形な建物など特殊なプランの場合は、延床面積はコストの目安にはなりません。同じ商品でも「施工面積」と「延床面積」では坪単価が変わってくるため、どちらで坪単価を算出されているのか事前に確認する必要があります。

②本体工事費の内容を確認

先程も説明したとおり、坪単価の計算には「明確なルール」がありません。そのためどこまで「本体工事費用に含んでいるのか」を確認するようにしましょう。「A社には本体工事費の中に地盤改良費用が入っている、B社には入っていない」など、各社本体工事費の内容の項目を同条件にしないと、坪単価での比較ができなくなります。必ず、金額の項目内容を確認するようにしましょう。

③建物や設備の違い

建築する注文住宅の構造によって坪単価は異なります。また、手間や材料が増える複雑な間取りよりもシンプルな間取りの方が価格は抑えることができます。そのため、おおよその建物構造や形状を統一した方が、坪単価は比較しやすくなります。壁紙や床材ひとつをとっても、何を使用して施工するかによって住宅の本体価格は違ってきます。中でもお風呂やキッチンは設備費用の中でもコストがかかる部分なため、これらのグレードによって坪単価は左右されます。家の中の設備のグレードが低ければ坪単価が安くなるのは当然です。坪単価の安さを最優先にして設備を選ぶのであれば問題ありません。しかし、坪単価で比較をするなら、設備のグレードが比較先で同等なのかは確認した方が良いでしょう。

工務店の坪単価はあくまで「目安」

「坪単価」とひとくちにいっても、算出する基準はバラバラで、条件によっても変動します。少しでも坪単価を安く見せようと、工事面積と称して延床面積には含まれない部分まで床面積にカウントしている場合もあるかもしれません。坪単価はあくまで目安であって、ハウスメーカーや工務店を選ぶ「材料」にはなりません。また、もしも坪単価でハウスメーカーや工務店を比較する際は、先程お伝えしたポイントを参考にして正しく比較してください。ローコスト住宅メーカーには、建物本体の価格が安くても、契約後にかかる上下水道の取り出し、解体工事、地盤改良工事、オプション工事などを市場価格より高く設定し、あとから利益を回収する会社もあります。建物価格は安くても、合算で見ると予算をオーバーしていることがあるため、契約後の費用がいくらかかるのかも事前の確認が必要です。坪単価はわかりやすい目安のようで、実はきちんと内容を確かめないと金額に大きな差が出てしまいます。坪単価の金額に惑わされず、トータルコストを考慮しながら、理想の家づくりを始めましょう。

「坪単価」よりも信頼できる価格で

東京・あきる野で工務店をしているイデアホームは、家という大きな買い物をされるお客様に、「○○一式」「坪単価○○万円!」という大まかで無責任な説明はしません。何が含まれているか明示せずに「標準仕様に入っています」という見積りは作りません。お客様が必要とされるものだけをすべて入れた見積書を詳細にお作りします。許容応力度計算(柱や梁などが荷重や地震に対して十分に耐えられるかどうかを細部まで計算すること)を実施して地震に強い家づくりをすること。そして、積算システムを活用して「どこにどんな部材を使うのか」「何にどれくらいのお金がかかるのか」ということを正直にお客様にお伝えしています。家づくりの予算のことでのご相談なら、ぜひイデアホームへ!

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