知っておこう!耐震診断の費用の目安と必要性について

現在住んでいる家の耐震性が気になったことはありませんか?住宅の耐震性は「耐震診断」で調べることが可能です。頻発する大型地震に備え、家の耐震性を見直してみませんか?この記事では耐震診断と、費用の目安について詳しく解説していきます。

知っておこう!耐震診断の費用の目安と必要性について

耐震のノウハウ

2022/05/10

耐震診断が必要な理由

耐震診断とは?

耐震診断とは、これから建てる建築物ではなく、既存の建築物に対して行う診断です。旧耐震基準において設計され耐震性能を保有していない建物を、現行の耐震基準と比較して耐震性の判定を行います。
1978年の宮城県沖地震がきっかけとなり、1981年(昭和56年)に建築基準法の耐震規定が大きく改正され、現在の新耐震基準となりました。新耐震基準以前に建てられた、旧建築基準法による建物の中には、耐震性能が著しく不足しているものも多数あります。1995年に発生した阪神・淡路大震災では、そのような建物に被害が集中しました。このため、1981年(昭和56年)6月以前の旧建築基準法で設計された建築物に対しては早急な耐震診断の実施が必要だとされています。

さらに、耐震化を進めるために2013年(平成25年)11月に耐震改修促進法が改正されました。不特定多数の人が利用する大規模な建物などでは耐震診断を行い報告することが義務付けされ、その結果を公表することになっています。また、2019年(平成31年)1月には一定の高さや長さを有する塀についても、同様に耐震診断が義務付けされ、その結果を公表することとされています。
新耐震基準で建てられた建物に関しては、耐震診断を行う義務はありませんが、劣化等が懸念される場合は耐震診断を行うことをオススメします。

耐震診断は一般的に日本建築防災協会が認定したプログラムで診断され、その診断結果は評点で表示されます。例えば評点が1.0未満の住宅に対しては「倒壊する可能性がある」、「倒壊する可能性が高い」などと評価されます。評点と評価については以下のようになります。

評点評価
0.7未満倒壊する可能性が高い
1.0未満倒壊する可能性がある
1.0以上一応倒壊しない
1.5以上倒壊しない

しかし、この評点は絶対のものではなく、1.0未満だから必ず倒壊する、1.0以上だから絶対倒壊しないという保証にはなりません。過去のデータから類推しているだけのものになります。あくまで参考値として認識しましょう。
現在では、より進んだ「時刻歴応答解析」による耐震診断を実施しているところもあります。時刻歴応答解析は旧来の評点による耐震診断より科学的根拠に優れています。「地震が起きた時建物がどのように損傷するのか」、「補強した結果どの程度強くなったのか」などを動画のビジュアルで確認できる、信頼性の高い時刻歴応答解析による耐震診断をオススメします。
イデアホームでは時刻歴応答解析による耐震診断も実施しています。

そもそも耐震性とは

耐震性とは、建築物や土木構造物などの地震に耐えられる性質、またその度合いのことを言います。特に建築物そのものの強度や靭性の強さのことで、耐震性が低いと大きな地震が来た際に建物が倒壊する恐れがあります。耐震性を表す基準に耐震等級などがありますが、耐震等級はあくまで目安なため、しっかりとした構造計算をして建てられた建築物であることが重要です。

▼詳しくはこちらの記事をお読みください

地震が起きてからでは遅い!耐震診断の重要性

近年、大型地震の頻発により、耐震診断や耐震補強に対する関心が高まっています。阪神淡路大震災、東北地方太平洋沖地震、熊本地震……突如襲ってきた災害は、多くの被害をもたらしました。さらに今後は東海地震、南海地震、首都直下型地震などの大規模な地震が起こる可能性もあります。そのような背景もあり、家の耐震性に対する関心は高まり続けています。

以前、耐震構造・制震構造・免震構造とは?の記事でも紹介しましたが、地震で人が亡くなる理由として最も多いのは、建物の倒壊に巻き込まれることです。阪神・淡路大震災のデータでは、亡くなった方の死亡原因の9割弱が建物の倒壊によるものでした。さらに残りのうち1割は建物の下敷きになり地震による火災から逃げられなかったことによって亡くなっています。つまり、地震の際に最も命の危険性が高いのは「耐震性の低い建物の中にいること」だと言っても過言ではありません。だからこそ今、命を守るためにますます耐震性が重要視されています。

耐震診断の流れと方法について

一般的な耐震診断の流れについてご紹介します。一口に耐震診断と言っても、自分でできるセルフチェックから、専門家による有料の診断までさまざまです。診断する建物が木造か、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造かなどによっても診断方法は変わってきます。

耐震診断の流れ

まず一番手軽にできるのはセルフチェックです。国土交通省住宅局建築指導課監修、「財団法人 日本建築防災協会」発行の2004年改訂版「木造住宅の耐震診断と補強方法」の中で示されている、診断方法の1つに「誰でもできる我が家の耐震診断」という診断方法があります。これは、住宅所有者が自分で行う簡易的なセルフチェックです。10項目の設問に回答すると、自宅の耐震性や家のどの部分が耐震と関係あるのかわかるようになります。セルフチェックを行ってみて、それだけでは心もとないと感じたり、目に見える老朽化があったリした場合には専門家に耐震診断を依頼しましょう。

専門家に調査を依頼した場合、現地で調査を行う前に、資料を確認する予備調査を行います。ここで、建物の延床面積や築年数、構造種別などを確認します。予備調査には構造計算書や設計図、検査済証や地盤調査に関する資料など、さまざまな資料が必要になります。これらの資料がない場合、現地調査の際に実測を行う必要があるため、その分のコストがかかってしまう可能性があります。
予備調査が済んだら、現地調査になります。直接現地に赴き調査をするわけですが、予備調査で必要な資料が揃っていたかどうかによって現地調査の内容は変わってきます。時間と費用を抑えるためにも資料はできるだけ揃えておきましょう。その後、建物の構造が木造か非木造かによって、それぞれ診断を行います。

木造住宅の耐震診断

木造住宅の場合は、2種類の診断法があります。1つは建築士や建築関係者などの専門家が、目視かつ非破壊(天井や壁をめくらない)で行う「一般診断」です。家を破壊することなく行える診断のため、解体が不可能な購入前の中古住宅でよく利用される耐震診断法になります。もう1つは、必要に応じて天井や壁などをめくる破壊調査を伴う「精密診断」になります。大型リフォームをする前提で耐震改修をしたい方向けの診断方法です。

一般診断

住宅の外観と内観から目視確認を行います。基本的に、屋根裏や床下の調査可能な箇所から確認し、破壊を伴う調査は行いません。
位置づけとして、補強の必要のあり・なしを判断するためのものであり、簡易的な診断とされています。精密診断よりも安価ではありますが、概略的に耐震性を診断するもののため、必要以上に補強工事をしてしまう可能性もあり、逆に費用がかさんでしまうことも考えられます。一般診断に要する時間は2~3時間程度とされています。

精密診断

一般診断は目視のみで行われますが、精密診断では必要に応じて構造を確認するため、壁などの破壊を行います。天井裏、屋根裏、床下から目視検査を行い、柱・壁を確認します。全ての柱・壁の強度を調査し、一般診断と比べ精密な診断結果を出すことが可能です。半日から1日程度の時間を要します。

非木造住宅(鉄骨造、コンクリート造)の耐震診断

鉄骨造、コンクリート造では、1次診断法から3次診断法までがあり、段階が上がるほど精度の高い調査になります。それぞれ、予算や建物の状況などで手法を選択します。

1次診断法

1次診断法は、比較的簡易なものとなります。具体的には、各階の柱と壁の水平断面積とその階が支えている建物重量を使って計算します。
建物の詳細な調査を行わなくても、設計図面さえあれば計算することが可能です。図面がない場合には全ての寸法を実測する必要があるため、時間もコストもかかります。また、1次診断の結果だけでは、補強設計を的確に行うことはできません。耐震補強を検討されている場合、1次診断は行わず、2次診断を実施するほうが良いでしょう。
なお、1次診断法は柱や壁の断面積から耐震性を確認するため、壁量が多い建物を簡易的に評価するための方法になります。壁が少ない構造の建物の場合「強度が低い」と判定されてしまうため、1次診断法には不向きです。

2次診断法

2次診断法は、柱や壁のコンクリート強度、鉄筋の影響のねばり強さも考慮し耐震性能を算出します。耐震性能の計算には、1次診断法よりも高い難易度が要求されます。1次診断法より信頼性が高く、主に柱や壁などの鉛直部材で耐震性が決まる建築物に適しています。学校や庁舎などの公共建築物で最も利用されている診断方法です。耐震改修を行う場合、2次診断の結果を元にして補強箇所や補強方法などの耐震補強案を出します。

3次診断法

3次診断法では、第2次診断の診断要素に加えて梁の強度も加味し、建物の保有水平耐力を算出します。3次診断法の耐震性能の算出は、2次診断よりさらに難易度が高くなります。主に架構構造(柱・梁構造)で耐震性が決まる建築物に適した診断方法で、高層建築や鉄骨造が対象となります。

耐震診断に関する費用について

一般的な耐震診断の費用の目安についてご紹介します。

耐震診断の費用の目安

木造住宅の場合、一般的に一般診断で5〜30万円、精密診断の場合15万円からになります。しかし、上記で紹介したように図面などの資料がない場合には追加料金が発生することもあるため、金額はあくまでも目安です。また精密診断の場合、解体工事と復旧工事にどの程度費用がかかるかに大きく左右されます。専門機材等を使用する調査があればさらに割増料金がかかる可能性があることも念頭においておきましょう。
非木造の場合は延床面積によって変動しますが、鉄筋コンクリート造では1,000~2,000円/㎡が相場です。鉄骨造になると1,500~3,000円/㎡ほどが相場になります。

耐震診断を実施する業者によっても費用は異なり、診断方法や条件によっても影響があるためこれらの金額はあくまでも参考程度にしてください。また、中古住宅の購入を検討されている方などは耐震診断と同時に住宅診断を利用されることも少なくありません。同時に依頼した場合、合計金額から割引をしてもらえる可能性もあるため、依頼する際には業者にしっかり確認しましょう。

耐震改修について

耐震診断の結果、耐震性能が所定のレベルに達していないと判断された場合は、倒壊を防ぐためにどのような補強が必要か具体的に計画を立てます。そのための設計を耐震改修設計と言います。補強設計を実施するにあたっては、目標性能のほか、建物の設備や使い勝手、耐震改修工事の費用、工期など様々なことを考慮して進めます。

耐震改修には大きく分けて、「耐震補強・制震補強・免震補強」の3つの方法があります。つまり、耐震補強とは耐震改修の中で用いられるひとつの方法になります。建物の基礎部分、土台、柱、はり、筋かい、壁などを補強していくことを指して耐震補強と言います。免震補強は建物に伝わる地震の力そのものを軽減するように、建物の基礎下や中間階に免震装置を設ける補強です。制震補強は、建物の損傷を軽減するために、建物の代わりに地震の力を吸収する制震ダンパーなどを用いる補強になります。

一般的な耐震リフォームとして採用されるのは耐震補強になりますが、家の状態などによっては免震補強や制振補強が必要になるケースもあります。耐震補強を行う場合、工事の内容や規模にもよりますが、2階建ての木造住宅では150万円前後の工事が最も多いようです。こちらも目安として参考にしてみてください。

▼耐震・制振・免震について詳しく知りたい方はこちらも併せてお読みください

耐震診断や耐震改修工事で利用できる減税や補助金・助成金

現在、旧耐震基準で建てられた住宅の耐震化が緊切な課題になっています。そのため全国の自治体では、耐震補強を行った住宅に対して補助金制度を設けていることも多いです。
その対象物件としては旧耐震基準の住宅(1981年5月31日以前に建築確認をとった住宅)に限定していることが多いですが、自治体にもよりますので自治体のHPなどで確認してください。場合によっては、100万円の補助金を出す自治体も存在します。補助金を利用して、なるべく耐震補強を行うようにしたいところです。

耐震診断を依頼するときの注意点

インターネットでも「耐震診断」で検索すれば、診断を行ってくれる業者を複数件簡単に見つけることができます。しかし、インターネット検索には、悪質な業者も紛れていることがあります。中には、無料で耐震診断をする代わりに耐震リフォームを契約させる業者や、耐震性能を診断できる資格や技術を持たない業者もいるため注意が必要です。

耐震診断を行えるのは耐震診断資格者で、通常、耐震診断資格者は建築士(一級建築士、二級建築士、木造建築士)の資格を持っています。可能であれば一級建築士の資格があり、なおかつホームインスペクターの資格も持っている専門家に依頼できれば安心です。
また、旧来の評点による耐震診断は、正確な診断と補強効果が明確ではなく、費用対効果が見えにくい傾向にあります。制度の高い耐震診断を希望するのであれば、時刻歴応答解析による耐震診断を行っている業者を選択するようにしましょう。

耐震診断を活用して、安心できる家づくりをしよう

自宅の耐震性が気にはなっていても、耐震診断の内容が難しかったり、依頼先に悩んだりして、二の足を踏んでいる方もいるのではないでしょうか。改修まで視野に入れるとそれなりに費用もかかるため、簡単とは言えませんが、1981年以前に建てられた、いわゆる「旧耐震」の住宅にお住まいの場合は早急に耐震診断を受けることをオススメします。

また、中古住宅の購入を考えている場合、リフォームと同時に耐震診断と補強工事を行うと安心です。地盤調査と併せて、正しく地震に備えましょう。自治体によっては、補助金や助成金制度が活用できる他にも、耐震診断の相談窓口があったりするので、上手く活用したいところです。

地震に強い家づくりをしているイデアホームでは、独自の技術や経験を活かした耐震リフォームも承っております。現在お住まいの家の耐震性に不安がある場合、是非イデアホームにご相談ください。

スタイル付き無料資料請求は
こちらから

イデアホームは地震に強いだけでなく、デザインにも自信を持っています。イデアホームの耐震性に興味のある方はもちろんのこと、デザインやスタイルについて気になる方も、まずは無料資料請求をどうぞ

詳しく見る